証を知る方法と漢方の考え方|3つの証を組み合わせることで体質が決まる?

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漢方や東洋医学では、体力や体質などを診るものさしとして証(しょう)を決めます。

この証を知ることで、その人が体力があるかないか、病因が外からなのか内側からかなどを総合的に判断することができます。

西洋医学では病気単体を診るのに対して、漢方や東洋医学では身体全体を診て判断をしていくのです。

今回は漢方や東洋医学で使われる証についてお話をしていきます。

証の基本的な考え方

漢方では、西洋医学でいう病名が同じでも一人ひとりの要因や体質が異なるため証を診て判断をしていきます。

例えば、冷え症という言葉がありますがこの冷え症も人によって原因や冷える場所、その人の体質は異なります。

身体が冷える冷え症でも手足だけが冷える人、お腹や腰回りだけが冷える人、身体は冷えるのに首から上は熱があるような人など一人ひとりの体質や病態には個性があります。

漢方では、ただ単に「冷え症だからこの漢方薬を出しておこう」とは考えず、その人の体質などを総合的に考えた証を知って初めて最適な漢方薬を提供することができます。

3つの証

その人の証を知るためには、基本的な3つの証をみていきます。この3つの証には以下のように表裏証、熱寒証、実虚証があります。

表裏証 病気の原因が身体のどの部位にあるかを知る
熱寒証 病気がどんな性質があるか、症状の表れ方を知る
実虚証 体力や体型、顔色などの見た目からその人の特徴を知る

陰と陽

漢方や東洋医学では、陰陽論を用いて体質や病気の状態を判断します。

物事は全て陰と陽からなると考えられ、このバランスが上手くとれることで正常な状態を保つことができます。

例えば、冷たいものを陰、熱いものを陽と考えますが、これも身体の中でバランスがとれないと身体が冷えることや熱を帯びた状態に偏ってしまいます。

陰と陽の分類

身体の表面、上部、背面
身体の裏側、下部、腹部

表証と裏証:病気の位置

病気がどの部位にあるのかを表証(ひょうしょう)と裏証(りしょう)の2つに分けて考えます。

表証とは身体の表である皮膚や関節などの表面のことで、裏証は身体の内側にある皮下組織や内臓、筋肉などのことをいいます。

風邪などの急性の症状の場合には、はじめのうちは頭痛や関節痛などの症状だったのに次第に食欲不振や胃腸の調子が悪いなどの症状が出るのは病因が表から裏に移行したと考えられます。

表証と裏証の主な症状

表証 頭痛・悪寒・鼻炎・のぼせ・関節痛・手足が冷えるなど
裏証 腹痛・嘔吐・便秘や下痢・血尿など

半表半裏証

※証が表と裏のどちらにも偏らずそれぞれの特徴を持つ場合には半表半裏(はんぴょうはんり)証と呼ばれます。

表証と裏証のそれぞれの特徴としては、表証の場合には急に発症し回復が比較的早い。裏証の場合には様々な要因からなり慢性的で回復まで時間がかかる特徴があります。

熱証と寒証:病気の性質

熱邪を受けて身体の陽気が高まっている状態を熱証(ねつしょう)、寒邪を受けて陽気が衰退している状態を寒証(かんしょう)といいます。

簡単に考えると暑がりの人は熱証、寒がりは寒証といった感じです。

熱証と寒証の特徴

熱証 寒証
顔色 赤色または黄色 白色または黒色
室温 冷房・冷気が好き 暖房・暖気が好き
飲み物 冷たいものが好き 温かいものが好き
喉の渇き 喉の渇きが強い のどが渇いても熱いものを好む
身体の冷え 顔や手足がほてる 手足が冷える
月経日 予定より早い 予定日より遅い
月経量 多い 少ない
おりもの 濃い・少量 薄い・大量

実証と虚証:病気の勢い

漢方では、体力の有無や病気に対する身体の抵抗力の強さを表す時に実証(じつしょう)と虚証(きょしょう)の言葉を使います。

実証と虚証は見た目や外見からもわかりやすく、簡単に考えると、がっしりとして体格が良い人を実証、痩せて顔色が悪い人を虚証といいます。

実証と虚証の特徴

実証 虚証
顔色 赤い 青白い
声質 大きくはっきりした声 小さく細い声
いかり肩 なで肩
体力 ある なくて弱々しい
体型 筋肉質でがっしり 細くて華奢(きゃしゃ)
はっきりとわかる 弱い
胃腸 強い 弱い
便通 便秘がち 下痢気味

八綱弁証(はっこうべんしょう)

陰と陽、表証と裏証、熱証と寒証、実証と虚証のこれらの組み合わせによって病態を診断する方法を八綱弁証といいます。

八綱弁証の組み合わせは以下の表のように8種類に分けられます。

八綱弁証

漢方では八綱弁証によって導かれた証に合わせて最適な漢方薬を飲んで身体を正常な状態へと導きます。

まとめ

漢方ではご紹介したような一人ひとりの証を見極めることが大切です。

今回は八綱弁証を例に挙げましたが、それ以外にも四診(ししん)や気血水弁証、臓腑弁証などを行いさらに精度を高めていきます。

このように一人ひとりの証を判断することを弁証(べんしょう)、さらに弁証によって導きだした結果に対して治療をすることを論治(ろんち)と呼びます。

漢方や東洋医学では、このように診断や治療を行うことを弁証論治(べんしょうろんち)といいます。

この弁証論治を正しく行うことで、身体全体をバランスの取れた正常な状態へと導くことができます。

四診や気血水弁証、臓腑弁証についてはまた次回お話をしていきます。

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